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さくら咲く

さくら咲く

30週 ウサギの枕

入院して2週間目にベッドの場所が移動しました。

それまで壁際で、壁とカーテンに仕切られていつも薄暗かったのですが、

窓際へ移動になりました。

そこへ移った瞬間「あと一ヶ月居られそう」だと思いました。

それくらい、雰囲気がガラリと変わりました。

向かいの妊婦さんにも「よろしくね」って自分から声をかけていました。


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7月末、33週に入りいよいよ出産予定日が決まりました。

8月15日です。

その頃には36週に入っていて、体重も2000グラムを越していると見込まれるということで、決定されたそうです。

私はそれまでの時間、何かしようと思い、

姉にお裁縫セットを買ってきてもらって、ウサギの枕を作り始めました。

子供は産まれたら直ぐにNICUに入れられてしまう予定でした。

お守り代わりに枕を作ってNICUの保育器の中に入れてあげたいと思ったのです。

寝転がりながら作るのは大変でした。

夢中になるとお腹に力が入ってしまうので、お腹に負担をかけないよう、気をつけながら作りました。

そして最終段階の胴体に耳をつけるところで、どうしても片方の耳だけが上手く付きませんでした。

あまり一生懸命にやり過ぎるとお腹の張りが出てしまうので、結局そこで諦めました。


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出産予定日が近づいたある日、それまでたまっていた荷物を

旦那にまとめて家に持って帰って貰うことにしました。

途中まで作ったウサギも一緒に持って行くように旦那に言いました。

すると旦那は

「作ってあげないの?」

と責めるように言いました。

そんな風に言われて罪悪感を感じましたが、もう面倒になって

「出産が終わったら仕上げるよ」と私は言いいました。

私は子供より自分が先に退院することになると思っていたのです。

旦那はちょっと不満そうにしながらも、持って行ってくれました。


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